• 如月心理相談室

認知的再体制化

最終更新: 5月24日



認知的再体制化(cognitive restructuring)とは、認知行動療法で技法のひとつで、Aaron Temkin Beckが開発しました。認知再構成法、コラム法、DTR(Dysfunctional Thought Record:非機能的思考記録表)とも呼ばれます。

うつ病などの気分障害、パニック障害や社交不安障害などの不安障害だけでなく、現在では強迫性障害や統合失調症、AD/HDなどの大人の発達障害にも用いられ、広く使われています。


私たちは日々何かしらの考えが浮かんでいて、これを「自動思考」と呼びます。

その時は非常に苦しかったけれども、後々考えてみたら考え過ぎだったという経験は誰しもあるのではないでしょうか。

ストレスフルな状況に直面すると、私たちの自動思考は極端な考えに至ることが多く、それが感情に影響します。そこで、自動思考を把握して考え直すスキルが認知的再体制化です。


最初はやり方がわからなかったり、難しい場合もありますが、専門家と一緒に進めて、反復して練習をしていくと次第にできるようになり、セルフコントロールしていく力が増していきます。



極端になりがちな自動思考の種類

極端になりがちな自動思考の種類には、以下のようなものがあります。


白黒思考

 物事を白か黒かという極端なカテゴリーに分類してしまい、灰色のままにしておくことができない。

自責思考、または他責思考

 うまくいかないことは何でも自分自身の欠点や不手際のせいであると考え、自分を責める。あるいは、自分に問題があることを認めようとせず、他者を責める。

破局化思考

 物事は何でも最悪の結果に終わると考えてしまう。

感情的決めつけ

 様々な条件や証拠に注目することなく、自分の感情を絶対視して結論を導いてしまう。

「べき」思考

 自分や他者を含め、様々な物事について「こうあるべき」という頑固な考えを持っているため、それらへの要求水準が高くなりすぎ、結果として要求が満たされないことが多くなってしまう。

心理的選抜思考

 物事のネガティブな面に際限なくこだわり続け、他にあるポジティブな面に目を向けられない。

マイナス化思考

 よい出来事や何でもない出来事を悪い出来事だと解釈してしまうこと。

肯定面を考慮しない思考(選択的抽象化)

 望ましい出来事を無視してしまう、あるいは正反対の望ましくない出来事にすり替えてしまう。

過度の一般化

 ある出来事が一度起きると、その出来事が今後も頻繁に起きると考えてしまう。

過大評価と過小評価

 自分の短所は必要以上に注目してしまう一方で、長所は取るに足らないものと考えてしまう。

ラベリング

 自分や他者にネガティブなレッテル(「敗北者」「役立たず」等)を張る。

飛躍的思考

 結果について見通しが立たない時はもちろん、望ましい結果が得られる可能性が高い時でも、「悪い結果が出るだろう」といった結論に飛躍してしまう。ある出来事をもとに他者の心は自分に対する軽蔑や嫌悪や怒りに満ちていると思い込んでそれ以外の可能性については考えなくなる「読心的推論」、確たる証拠がないのにもかかわらず将来を悲観的なものと予測してしまう「予言的推論」の2種類がある。



認知的再体制化 やり方


認知的体制化は、シートを使いながら日常の中で練習します。


「状況」

 ストレスフルな具体的状況や場面を特定する。

「気分」

 ストレスフルな具体的状況や場面での気分・感情を把握して、その程度を0~100%で評価する。

「自動思考」

 ストレスフルな具体的状況や場面での自動思考を把握し、自動思考の内容がどの程度本当の感じがするか0~100%で評価する。考え直す自動思考を選ぶ。

「根拠」

 自動思考の内容が妥当なものである理由を挙げる。

「反証」

 自動思考の内容が妥当でない理由を挙げる。

「適応的思考」

 根拠と反証を考慮した新たな思考を考え直す。考え直した思考の内容がどの程度本当の感じがするか0~100%で評価する

「気分の変化」

 どの程度気分が変化したか、気分・感情を把握して、その程度を0~100%で評価する。



下の図は一例です。

この例では、「朝、すれ違った上司に挨拶をしたら、返事がなかった」状況で、不安やゆううつを感じて、「私は無視された。上司から嫌われている。」「私には価値がない。」といった自動思考が生じています。



根拠と反証を挙げた上で、「多忙な時期で忙しく、上司は挨拶に気づかなかったのかもしれない。昨日まで返事があったし、上司の返事がなかったからといって私に価値がないわけではない。」という適応的思考を導き出し、不安やゆううつ感の低下がみられています。

反証を多く挙げられると適応的思考を導き出しやすくなります。


普段意識していなかった自分の自動思考に気づくだけでも、自分の思考と少し距離がとれて客観的になれることも多いので、日頃から自動思考に気づくようにしておくとよいでしょう。




【参考文献】

Dennis Greenberger, Christine A.Padesky 大野裕監訳・岩坂彰訳 (2001). うつと不安の認知行動療法練習帳. 創元社.

大野裕 (2003). こころが晴れるノート ーうつと不安の認知療法自習帳. 創元社.



2020年5月21日 更新

如月心理相談室

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