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​Q & A

Q1:​「トラウマ」は広く使われている言葉ですが、どのようなことがトラウマに該当するのでしょうか?
A1:トラウマとは「心的外傷」のことです。体験した出来事が苦痛を生じさせる記憶として整理されずに残っている状態を指します。
トラウマには、PTSD診断のA基準(実際にまたは危うく死ぬ、重傷を負う、性的暴力を受ける出来事)を満たす戦争、災害、事件、事故、身体的・性的暴行等の「ショックトラウマ」、ドメスティック・バイオレンス(DV)、児童虐待、マルトリートメント、いじめ、ハラスメント等の発達過程や人間関係上での心的外傷を指す「発達性トラウマ」、慢性ストレスや医療処置、貧困、差別、孤立等のその他のトラウマがあります。どのような出来事であっても、個人にとって危機的なものとなればトラウマになる可能性があります。
どのような体験であっても個人にとっては非常に苦しいものであることには変わらず、体験の種別を問わず現在も辛さが残っている記憶はトラウマケアの対象になります。


Q2:トラウマケアカウンセリングにはどのような効果がありますか?
A2:記憶は良くも悪くも私たちに広く強く影響を与えています。トラウマがケアされると心身がトラウマとなっていた記憶の影響を受けなくなり、感情、身体感覚、思考、行動が自然と良い方向に向かっていき、生きやすくなります。
具体的には、まずその記憶が思い浮かんでも感情的、身体的な苦しさが生じにくく、もしくは生じなくなります。そして、苦痛を感じるため避けていたものを避けなくなり、過剰に覚醒している状態が落ち着いていきます。また、トラウマによって生じている自分への否定的なイメージや感情調整の困難さ、対人関係面にも変化がみられていく可能性があります。

状態によってケアの進み具合には個人差があるので、辛抱強く継続して通っていただくことが大切になります。

Q3:辛い記憶を思い出したくない、深く話したくないのですが、それでもトラウマケアカウンセリングを受けられますか?
A3:トラウマ体験を話すとトラウマ記憶の活性化が起きるため、感情的、身体的に強い苦痛を伴うことが珍しくありません。また、トラウマ体験を話した結果、反って辛くなるような言動を受けた経験があると、ますます話すことに苦痛を感じるようになります。そのため、トラウマ体験についてカウンセリングで話すことに抵抗感を感じる方もいらっしゃいます。
経緯や体験が何もわからないままカウンセリングを行うことは難しいのですが、今話せる範囲のことをお話していただき、深く聞かれたくない場合にはその旨をお伝えしていただければそれ以上聞かないように努めております。
回数を重ねる中で、話してもよい気持ちになるようでしたらお話していただければ大丈夫です。


Q4:トラウマケアカウンセリングはどのような流れで進みますか?また、どれくらいの期間がかかるものでしょうか?
A4:基本的に、初回のカウンセリングでは経緯をお伺いし、カウンセリングへのニーズや方針を擦り合わせます。2回目以降にトラウマケアの計画を立てて、トラウマケアを行っていきます。実際にトラウマケアが始まるのは、早くて3~4回目辺りになります。
強い解離や深刻な自傷他害、著しい感情調整の困難さといった状態や、現在も安全ではない状況等によってはトラウマケアをすぐに始められない場合があるので、その場合はまず安定するためのカウンセリングやエッセンスをお伝えしていきます。
ケアが終了するまでの期間は個人差があるので明確にお答えすることはできませんが、トラウマケアの計画を立てた段階である程度の見通しはお伝えするように努めています。数ヶ月経って、その見通し通り進まないようであれば、計画や方針を見直してケアが進みやすくなる方針を提示、共有するようにしております。


Q5:トラウマケアカウンセリングの50分と90分の違いは何ですか?カウンセリングの頻度はどのくらいが望ましいでしょうか?
A5:1セッションで行えるトラウマのケアには限りがあるため、50分よりも90分の方が望ましく、2週間よりも週1回の方がケアを行う時間が十分にとれて早くかつ安全にケアを進めることができます。
トラウマケアカウンセリングの時間と頻度はご希望に応じて決めますが、EMDRでは50分ではなく90分のセッションが推奨されています。

“最初の成育歴・病歴聴取を50分(もしくはそれ以上)の独立したセッションで行い、それに続く外傷体験のEMDR治療を90分のセッションで行うことをすすめる。(部分省略)伝統的な50分のセッションを維持すると、クライエントの主訴を十分に治療するには、一般的に倍以上のセッション数が必要になる。(Shapiro, 1995 「EMDR 外傷記憶を処理する心理療法」p119-120から引用)”
 
Q6:オンラインカウンセリングでトラウマケアを行えますか?
A6:オンラインカウンセリングでもトラウマケアを行うことができます。ただし、セッション中に強い感情的、身体的苦痛が生じてトラウマのケアが困難となる可能性が見込まれる場合などはオンラインカウンセリングでのトラウマケアをお断りする場合がありますのでご理解いただけますようお願いいたします。
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