如月心理相談室
心理療法
EMDR
Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理法
EMDRは、1989年にFrancine Shapiro博士が発表した心理療法です。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)へのケアの方法としてエビデンスがあり、現在は応用が広がって様々なメンタルヘルスに関連する問題に応用されているトラウマケアです。
EMDRでは一般的なカウンセリングと異なり、対話だけでなく両側性刺激と呼ばれる一定の手続きによる眼球運動等を用いながらトラウマをケアする脳の情報処理を促進し、肯定的な感覚を強めていきます。
記憶は私達に広く強く影響を与えるため、トラウマがケアされると感情、身体感覚、思考、行動が自然と肯定的に変化していきます。
世界保健機関(WHO)、アメリカ心理学会、国際トラウマティックストレス学会でも推奨されている方法で、規定のトレーニングを修了した専門家(精神科医、臨床心理士等)が各国でEMDRを使用したトラウマケアに取り組んでいます。
ソマティック・エクスペリエンシング®
Somatic Experiencing®:SE™
SE™は、米国のPeter Levine博士が開発した身体と神経系の統合をベースにしたトラウマへの心理療法です。
SE™ではトラウマを体験した出来事の問題ではなく、体験した出来事に対して神経系がいかに反応するかという問題として捉えており、蓄積された過剰なエネルギーがトラウマに起因する様々な症状を生じさせていると理解されています。
そのため、SE™では神経系がトラウマによって抱えた過剰なエネルギーをゆっくり解放していくことを目指します。
※現在トレーニング受講中
ブレインスポッティング
Brainspotting:BSP
BSPは、David Grand博士が創始したEMDR等の様々なトラウマケアから発展した心理療法です。
神経生物学的な仮説に基づいている心理療法で、BSPを通して皮質下および新皮質の活性化が自然と起こることによって、トラウマのケアを促進します。
一定の手続きに基づいてブレインスポットと呼ばれる眼球の視点に視線を置き続けることでトラウマのケアが進んでいく、ソマティックなサイコセラピーです。
思考場療法®
Thought Field Therapy®:TFT
TFTは、Roger Callahan博士が1970年代後半から発展させてきたエネルギー心理学に基づく心理療法です。
TFTでは一定の手続きに沿って身体のツボを自分でタッピングすることで心理的問題や症状を改善させていきます。
米国政府のエビデンス登録機関(SAMHSA)に登録されており、「個人のレジリエンス、自己概念」「自律」「トラウマ、ストレス関連の障害と症状」「抑うつ、うつ症状」「一般的な機能と健康」「恐怖症、パニック、全般性不安障害とその症状」「特定不能およびその他のメンタルヘルスの障害と症状」において効果が認められています。
ツボのタッピングの手順は簡単なため、セルフケアとして使いやすく、各国で用いられています。日本では個別カウンセリングの場面だけでなく、災害による心の支援等にも用いられています。
ボディ・コネクト・セラピー
Body Connect Therapy:BCT
BCTは、藤本昌樹博士が創始した新しいトラウマケアの心理療法です。
様々なトラウマケアの心理療法のエッセンスを背景にしており、身体からアプローチする心理療法です。
トラウマケア中に解離を起こすと記憶の情報処理が止まってしまうことが知られており、BCTは解離を起こしにくいような工夫がされていて、眼球運動やセルフタッピング等の手続きを通して安全かつ効果的にトラウマのケアを進めていきます。

認知行動療法
Cognitive Behavioral Therapy:CBT
認知行動療法は、自分自身の思考(認知)、行動、気分、身体感覚の繋がりを理解し、自分自身でセルフコントロール、セルフケアをしていくスキルを身につける心理療法です。
スキルを身につけるために日常生活で練習する時間と労力が必要ですが、身につけたスキルはその後も使えるため、似たような状態や状況に置かれた時に自分自身で対処しやすくなります。
スキルには、セルフモニタリング技法、認知再構成法、行動活性化、問題解決技法、行動実験、エクスポージャー療法、持続エクスポージャー療法、暴露反応妨害法、マインドフルネスなど様々なものがあり、状態に合わせて選択します。
認知行動療法は、うつ病などの気分障害、全般性不安障害や社交不安障害、パニック障害などの不安障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)など様々な精神疾患に対するエビデンスが確立されており、精神疾患だけでなく自己実現やコーチング、ご本人のケアだけでなくご本人を支える家族の支援にも援用されています。
医療、産業、福祉、教育といった幅広い臨床領域で期待され、用いられています。