如月心理相談室
感想:「A preliminary study of the efficacy of Brainspotting」
更新日:2月28日

「A preliminary study of the efficacy of Brainspotting - a new therapy for the treatment of Posttraumatic Stress Disorder」を読みました。
Anja Hildebrand, David Grandの論文で、David Grand博士のホームページから無料でダウンロードできるようになっています。
ブレインスポッティング(Brainspotting:BSP)はDavid Grand博士が開発したトラウマに対する心理療法で、EMDRやSEなどの心理療法から発展してきた統合モデルです。
本研究は、18歳以上のPTSD(心的外傷後ストレス障害)もしくはASD(急性ストレス障害)に該当する方々を対象に、22名の研究協力者に対して3セッションのBSPを実施したものです。結果、PreとPostに行ったセラピスト評価とクライエント評価におけるPTSD症状、抑うつ症状や不安症状に改善がみられました。
考察では、長期的な効果や他の療法との比較研究などが必要であるものの、BSPが従来のPTSD治療に代わる方法のひとつになり得ることが述べられています。
複雑性PTSDの場合はもっと時間が必要だと思われますが、PTSD症状に3セッションで改善がみられるのは臨床上とても有意義だと思います。
それから、研究結果ではなく問題のところの記述で、BSPを行う際に「セラピストはクライエントの目の動きを指示棒で導き、随伴する反射反応を観察する(瞬きの増加、瞳孔の拡張、目のひきつり、突然の呼吸、顔のひきつり、あくび、咳をする、手を動かす等)」と書かれていました。
活性化は身体全身で起きるものなので、クライエントの全身を観察して感じることを学びました。今までつい顔周りばかり観察していましたが、本研究を読んでから取り組む時の意識がだいぶ変わった気がします。
BSPの研究はまだ日本では少ない状況なので、また別の英論文も読んでみたいと思います。
2021年1月31日
如月心理相談室